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電撃テンジカーズ(2)
2巻の表紙画像がまだAmazonの商品ページに掲載されていないので、1巻のものを流用。

電撃大王にて連載中の漫画の、待望の2冊目の単行本です。
天竺を目指す"三蔵"とその弟子である"八戒""悟浄"は大量にいるけれど、何故か"悟空"不足に喘ぐ世界が舞台。そんなところに、現代日本に暮らすとある男子中学生が飛ばされてきて……といった感じで始まるギャグ作品。

試読はこちらでどうぞ。

一応は西遊記がそのモチーフになってはいますが、帯にある「今、天竺に最も遠い西遊記!」というフレーズから分かる通り、残っているのはキャラクターの見た目と名前ぐらい。
天竺に向かうという目的も、彼らはすっかり忘れてそうな感じです。というか、忘れてます。

とにかくテンションの高いキャラが話を引っ張り、ボケキャラも時折わけの分からんノリになり、そこに面白い絵面と独特の勢いある台詞回しをかぶせてくる……というのが、このテンジカーズに限らず、古賀作品における基本形。1話毎のページ数は基本8ページですが、その倍以上のものを読んだかのように感じさせる密度が特徴です。実際、台詞の量はかなり多め。
なもんで、こうして僕なんかが文字で説明しても、その楽しさは多分あんまり伝わらないだろうなとは思うんですが、古賀亮一先生のファンとしては何にも触れないってのもあれなので……

この作品におけるトラブルメーカーは、"三蔵"太郎。瞳を隠すような眼鏡、ひょろっと伸びた波打つナマズ髭と、ほんのり中華風な顔と、"三蔵"であるにも関わらず妙にふざけた格好(自らの顔がプリントされたTシャツだったり、ゴリラの着ぐるみだったり……)がトレードマークの変態です。カリスマ性低めのパクマンさん、音速さんといったところかな。
ちなみに本作の主人公である"悟空"がこの異世界に飛ばされてしまった原因を作ったのは、太郎と、太郎が無理に弟子に仕立て上げようとした107代目"悟空"という猿(何と、この猿の顔がでかでかとプリントされたTシャツが発売されます。古賀先生がゴリラやらサルやらが好きなことは周知の事実なので、そこまで驚きではない……嘘です、びっくりしました。予約申込締切はまだ先ですが、気になった人は早速ポチりましょう。古賀亮一先生の同人誌『メイドのフミエさん』復刻版も付いてきます。)なので、ある意味では太郎こそが、この漫画のスタート地点を築いたキャラだと言えないこともありません。

そういえばこの『電撃テンジカーズ』は古賀作品にしては珍しく、女の子同士のキャッキャウフフが控え目(控え目なだけで、何だかんだでちょこちょこと描かれてはいます)です。
その代わりというわけでも無いんですが、優しくてちょっとボケたところがある美人"三蔵"ハルカさん(その包容力を体現したかのようなおっぱいの持ち主)、元気で可愛くて時々少し暴力的なロリっ娘"八戒"(八重歯がキュート)と共に旅する、思春期の少年である"悟空"のどぎまぎも1つの見所になってるんでないかな。時々壊れてしまう彼も、また笑いを誘う要素の1つなわけです。まあこれだけ魅力的な2人が色々とコスプレしたり何だりしてくれるんだから、おかしくなるのも道理ですな。

感想というかちょっとした紹介みたいな感じになってしまいましたが(紹介としてもアレかもしれない)、こんなところで。好きな作品なんですが、上手く書けないや。
賑やかしに、電撃大王リニューアル記念イベントの際にいただいたサイン色紙でも載せておきます。

古賀亮一サイン(20080706)
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ジャンル:アニメ・コミック
どみなのド!(3)

チャンピオンREDにて連載中の漫画の単行本、3冊目。
ドSなお嬢様の許婚・怒皆ひかりに、「所有」され拘束され虐げられる。平凡な高校生・土江武が過ごす、人によっては羨ましく感じるかもしれない、ある種の愛に溢れた毎日が描かれている作品です。

ゆっくりと距離を縮める武と彩子を、怒りと共に見つめるひかり

ひかりをライバル視している璃瑠(この子もちょっとアレ)の策略で、武に好意を寄せる少女・彩子と武が少しばかり接近するところから今巻は始まります。
私服を着て街で待ち合わせ、恋愛映画を観覧し、食事をとって、服を見て回り……とまあ、この作品らしからぬ、何とも普通のデート。愛情表現にしろ照れ隠しにしろ、ほぼ確実に暴力がそこに介在するドSなひかりとでは、こういったことを楽しむ機会はあまり無さそうなので、武にとっても貴重な体験になったんじゃないでしょうか。

そんな具合に接近を始めた2人を見ているひかりの機嫌は、勿論悪くなる一方。屋敷内で武と顔を合わせる度に、何かと難癖を付けて教育的指導を繰り返します。熱々のおでんを無理やり開いた口に押し付けるとか、相変わらずひかりのチョイスは厳しいなあ。
そんな折、パッと見にはがらくたばかりな武の宝箱(最初、それを目にしたひかりは「子供みたい」なんて笑っていました。武がいなければ割と素直な表情を見せてくれるのが彼女の可愛いところです)の中に、彩子が武に贈ったお菓子の包装に使われていたと思しきリボンを見つけてしまったひかりは、それを宝箱ごと捨ててしまいます。実際にはそれは彩子の使っていたリボンではないことが、ひかりの幼少時の記憶を辿る内に判明するのですが……

一方、ひかりの心情を知る由も無い武は、大事にしていた宝箱を捨てられてしまったことを聞き、何と屋敷から逃走します。今までどんな虐待にも耐えてきた彼にもどうしても許せないことがあったのか、それとも積もり積もった不満が機会を得て爆発しただけなのか、その辺りは彼のみぞ知る。

ひかりのそれを凌ぎかねない、彩子の想い

そして行き場を失い、公園で一夜を明かした武を拾った女神こそ彩子。
両親が海外にいるとかで、彩子は一人暮らしだそうで、そんな彼女の家に武はお呼ばれされるのです。三角関係の行方に注目していた読み手としてはワクワクが止まりませんでした。
メインヒロインであるひかりがこの展開にどう絡んでくるのか、もしひかりがこの場に現れなかった場合、彼女は武と彩子の関係についてずっと悶々としなくてはならなくなるわけで、そうなると彼女と武の関係はどう変わってしまうんだろうか、なんて考えつつページをめくり続けると……

彩子の愛情のカタチが露わに。

( ゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシ
 
(;゚д゚) ・・・
 
(つд⊂)ゴシゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …!?

単行本裏表紙の「愛=拘束!?」ってひかりの仕打ちを指したものじゃなかったんだなあ。

1巻で武の小水を溜めたペットボトルに頬擦りしていた時点で彼女の狂人っぷりはガチなんだろう、と覚悟はしていましたが、まさかこういった行動に出るとは思いませんでした。しかもこの画像の部屋、天井の至る所に武を隠し撮りした写真が貼り付けてあったりするのです。
ちなみにそのペットボトルは全部冷蔵庫に保存してあって、時々口をつけてるとか何とか。今巻における彼女の台詞で最も恐ろしいのは「一番最初のこれだけは武くんと一緒に飲もうと思って 大事に取っておいたんだよ」というものでしょう。もうわけ分かんないよ!
だけど個人的には、彩子が下のお世話までしてくれるっていうんならこの生活も悪くないんじゃないかな、とか思わないでもなかったです(←



この後は、武が大事にしまっていたリボンがかつて自分が渡したものだったことを思い出したひかりが、武と話を付けるために彩子の家へと出向くという修羅場展開、そしてそれを収めるために繰り広げられる武を賭けたバトル(何故か一発ギャグとか……ここでは下ネタ全開です)が楽しめます。
ところで、彩子の家に乗り込んだ際に、ボールギャグを噛ませられているせいで事情を説明出来ない武に向かい「アンタが真面目に話す気がないなら 私……」なんて悔しそうな表情を見せるひかりがとても可愛い。この瞬間、僕の中でひかりは彩子に追い付きました。

目黒三吉先生のブログはこちら→"目黒三吉のゴーゴー!ぶろぐ"

関連:『どみなのド!』感想(1)(2)
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神のみぞ知るセカイ(8)

週刊少年サンデーにて連載中、アニメ化も決まりノリにノっている、ギャルゲとリアルの境界線が分からなくなってくる漫画も、もう第8巻。早いものですね。

主要キャラの紹介に加えて、既刊の試読ページもある公式サイトはこちら

今巻に登場するヒロインは2人。草木も眠る丑三つ時に墓場で1人遊ぶ不気味な少女・日永梨枝子と、メモを取りながら有名店のラーメンを幾つも啜る、ラーメン店の一人娘・上本スミレ。

個人的には、梨枝子のエピソードが好み。

父方の祖父母の元に遊びに出掛ける桂馬達。
するとそこには、「あそんでくれなきゃクビキルゾ」なんて物騒な歌を口ずさみながら懐いて(?)くる、愛梨という少女の姿が。ギョロッとした目、不吉で突飛な言動が何ともミステリアス……というか、不気味な子なんですが、そんな彼女と瓜二つの少女が、夜の墓場で光を発しながら1人で毬をついているのをエルシィが発見してしまうところから話は始まります。

怪しさに満ちた愛梨の言動を見ていると、友達がいないのもむべなるかな、といった感じ。友達と遊びたいのか、それとも根底からそういった性格を直したいのか、いずれにせよ彼女こそが心のスキマの持ち主で、駆け魂に取り憑かれている今エピソードのヒロインなんだろうなあなんて思っていたわけです。
ところがエルシィの駆け魂センサーは、愛梨には全く反応しないわ、それどころか夜中現れる発光少女(こう書くと、イカ娘みたいですね)にも何ら動きを見せないわ……と何とも不思議な展開に。墓場に現れる少女は空中浮遊までしているし、そこに駆け魂が何ら介在しているのは確かなのになあ、とエルシィと一緒に首を捻るのが楽しかった。
ヒロインをどう攻略するかとなると、リアルにせよゲームにせよ恋愛経験の乏しい僕はもう完全にお手上げになってしまうんですが、そもそも誰がヒロインなの?という話なら一緒に悩めるんだなあ、と。

結局、駆け魂が入っているのは愛梨ではなく梨枝子なわけですが、桂馬が攻略するまでもなくこのエピソードは終幕を迎えたこともとても印象的でした。
梨枝子は……なので(今更ネタバレ回避も何もありませんが、まあ割愛)、恋愛を用いて彼女が心に抱える問題点を浮き彫りにして、そこから解決への道筋を辿るといった手法が通用しないのは分かり切ってはいましたが、こうも静かに終わるとは思わなかったんですよね。
心のスキマと向き合うに当たって、それを埋めてしまおうとするだけでは無く、ありのまま受け止めて呑み込んで生きていくことも1つの手。今まで知らなかった形の、リアルの人々の生き様を桂馬はどう捉えたんだろう、なんてことも考えながら読めるエピソードだった気がします。

ところで今巻にも設定話というかインターバルのようなものが収録されてるんですが、そこでノーラさんが早くも再登場してくれて嬉しい限りです。褐色肌で巨乳、しかも普段はとてもキッツイ癖にちょっと純なところもあったりする。そんな彼女の活躍を祈っています。



更に嬉しいのが、とらのあなで購入すると貰えるイラストカード。何と絵柄が栞じゃないですか!Twitterリクエストで選ばれたらしいですが、いやはややっぱり可愛いです。

帯裏の若木先生ヒストリーが割と悲惨なので、是非帯が付いている内に買いましょう(ノ∀`)

若木民喜先生のブログはこちら→"HoneyDipped"

関連:『神のみぞ知るセカイ』感想(2)(3)(4)(5)(6)(7)
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第七女子会彷徨(2)

COMICリュウにて連載中のコミカルなSF漫画の単行本、待望の2冊目。
SF的ガジェットに満ちた世界で、彼女なりにごく普通に日常を過ごしている2人の女子高生、金やんと高木さん(表紙の女子、左と右)の姿が描かれている作品です。

裏表紙にあるコピーが、まさにその世界観を表しているので拝借。
「ちょっとだけ未来社会の彼女たちの日常生活は……もはや非日常。」なわけです。"すこしふしぎ"な感覚を味わうに非常にもってこいな作品なので、興味のある方は是非COMICリュウで立ち読みでも……

さて、この作品に関しては毎月リュウの感想記事で触れてるんで、それをまとめておきます(ところどころ修正はしてますが)。雑誌感想というエントリの性質上、普段の単行本感想に比べるとネタバレを多く含みますが、まあその辺りは勘弁願いたい。



・#14『まぼろし まほろば/Death walker』

学校が死人の生徒を受け入れると発表したことが、描き下ろしのプロローグで語られています。が、雑誌掲載時は今巻に収録されていない第13話『夏のまぼろし/Summer's phantom』(個人的にはとても好きなエピソード)の最後でその辺りのことがちょろっと描かれていただけなので、最初描き下ろしパートを読んだ時は「あれ?描き下ろしになってるけど、似たようなのを読んだような気がするぞ……」といった感覚に陥りました。
ちなみにこの描き下ろしの部分には、第21話で金やん達の会話に混じって「誰?」と突っ込まれている眼鏡の女の子が登場しています。のび太みたいな顔してますね。

で、死人の生徒といえばこの人。単行本1巻にてお亡くなりになっている坪井さんが再登場するわけです。
さて、そんな坪井さんが(もしかしたら生前よりも)ハイテンション気味に隣の席に座る飯島くん(前号ラストで意味ありげに登場した男子生徒)に話しかけてみると、何とリモコンで声量を調節されてしまいます。飯島くんが何故そんな道具を持っているかは割愛。
ここで僕が感じたのは、「ああ、やっぱり死人はデータとして管理されてる身なんだなあ、自由じゃないんだよなあ」ということ。最初の数ページでは、坪井さんのタレ目や八重歯が可愛かったり何だりで、彼女と他の生徒との差異を忘れてしまいそうになりましたが。しかしそんな状態にあっても、やたら脳天気な坪井さんは凄い子だ。言動を見てる限り、努めて明るく振る舞ってるというわけでもなさそうなので、自らの死についてはとりあえず吹っ切れたんでしょう。単にアホなだけかもしれないけど。



・#15『多元宇宙ボタン/I am missing』

今回の話は金やんがメイン。
光子(金やんの家に居候している遊歩探査……まあロボットみたいなもの)が転送を受けた未来道具(作品の舞台自体が近未来なんですが、それよりも更に未来ってことです。何か面白いな)「多元宇宙ボタン」によって、自分が存在しない並行世界へと飛んでしまった金やんが、世界のバランスを保とうとする宇宙のヒズミから逃げつつ、見覚えがあるにも関わらず、金やんの過ごしたそれとは何処かズレている風景を見て回る……といったような、SF色がやや強めなエピソードでした。

並行世界が、金やんの知っている世界とほんの少し、だけど決定的に異なることを感じさせたのが、高木さんの存在。並行世界にも高木さんはいるんですが、彼女と友達選定でペアになっているのは金やんでない女の子なんですね。だから金やんのことを知らない高木さんは、その名前すら明らかにされない女の子と一緒に行動している。
決して珍しい話の作りではないんだけれど、普段の金やん・高木さんコンビを生温かく見守っている(気分になっている)僕には、何ともいえない気持ち悪さを感じさせました。

それでも2人は感覚的に惹かれ合うんですよね。並行世界の高木さんが金やんに向けた「よくわかんないけど私 あなたのこと好きかもしれないな」という台詞は、どんな形で出会ったとしても2人の仲は上手くいく! みたいなことを僕に確信させてくれたわけです。ここの金やんの嬉しそうな顔がまた、たまらなく可愛いんですよねー。



・#16『初恋解凍/Long time to see』

かつての金やんの同級生であり、7年間の冷凍睡眠から目覚めた清水くんが登場。回想(?)シーンでは、彼が眠りに入る時に泣き出してしまう純な金やんの姿が拝めます。妙に飄々としている現在の彼女とはえらい違いだ。

清水くんの抱える、周囲の大きな変化とその状況に付いていけない自分の間にあるギャップに対する戸惑い(このエピソードにおいては、その表徴として首輪だけ残された犬小屋が出てきます。これは応えるだろうなあ)というのは、SF的設定ならではの興味深い悩みですよね。ウラシマ効果的な……
また、そんな状態に置かれる人間というのが現在の生活からは想像しにくい(無理やり考えるなら、植物状態からの復活とかかな)という意味で、読み手である僕らにとってもそこにはギャップがあったりして、それもそれで面白いかもしれません。

さて、そんな清水くんに手を差し伸べるのは勿論金やんの役割です。やっぱり金やんは頼りになるんだよなあ。どんな状況に陥っても何だかんだで落ち着いて物事に対処する姿は、高木さんでなくても縋りたくなるってもんです。
ここでの「困ったことがあったら助けてあげるって言ったでしょ?」と微笑む金やん、そしてそれを受けて彼女は変わっていないと感じる清水くんのやり取りはなかなか微笑ましい。清水くんにとっては「変わっていない」ように思えても、やっぱりビジュアル的にも精神的にもお姉さんな金やんと、返事に子供らしさを残した清水くんの対比がイイんですよね。

そしてオチの1ページには大層笑わせてもらいました。現実は夢がないなあ(笑



・#17『高木さん劇場/Show you』
・#18『ぷらぷら/It's up to you』

2本立て、ということで同じ号に掲載されていました。
第17話は、高木さんがメイン。

人間大のウサギに、不思議な空間に無理やり連れて行かれる高木さん。意識を取り戻した高木さんが見たのは、"記憶再生機"によって自分の記憶を覗き見て楽しんでいるウサギ達の姿でした。
高木さんの日常は人気が高く、普段は遠くから観察しているんだけど、今回は特別に直接頭の中から覗かせてもらっているなんて言い出すウサギ。
ちょっとした人気者(割とバカにされている感じではあるんですが)扱いな高木さんですが、これってプライバシーも何もあったもんじゃないわけで、いやはや不憫な子だなあ。
それにしても、これはなかなか怖いなあ。絶対に知られたくないことが、自分の気付かないところでバレてて、しかもその事実を明かされてしまうわけですから。自分では想像もできない謎の技術によってなされてるから、まだ不思議感がクッションになってますけど、これがいわゆるストーカー的手口だったら完全にサスペンス(又はホラー)だなあ。

しかしこうして人外にまで徹底的にイジられる辺り、高木さんの溢れんばかりの魅力はこの世界の共通認識といえるんじゃないでしょうか。
機会があれば、僕も彼女の日常を盗み見たいもんです。え?高木さんが怖がる?……だがそれがいい(←×

第18話では、金やんと高木さんの過ごす年の瀬が描かれています。
珍しくこれといったイベントも起こらず、落ち着いた雰囲気で話は進んでいくけれど、実のところこれこそが彼女達の過ごす日常なのかもしれません。さすがに毎日のようにアクシデントがあったら、金やんの体がもたなそう。



・#19『静止現象/Freeze tag』

あらゆる物体の動きが止まってしまった世界でたった1人、どうしてかうろちょろ(彼女の無軌道さを表すには、こういう言葉がぴったりでないかと思います)動き回ることができる高木さん。

彼女が色々と悪戯をして廻る様を見るのが、今話最大の楽しみなんじゃないかと思います。勿論、どうして何もかもが動かなくなってしまったのか、そんな中で高木さんだけがフリーダムなのは何故か、という疑問もそれに対する解答も気になるところではありますが、それはさておきやっぱり高木さんに目は釘付けなわけです。
話しかけても反応しない金やんの顔をはたいてみたり、名残惜しげにその場を去ったと思ったら、他人の眼鏡を勝手に持ってきて金やんにかけさせてみたり、金やんのリボンを解いて自分の髪をまとめるのに使ってみたり(この時の高木さんのビジュアルがなかなかイイ)、それでもって自分の行動に何の反応も示さない世界に悩んで、最終的にやっぱり金やんに抱きついて助けを求めてみたり……この子、ホントに金やん好きだな!

とまあ、全体を通して台詞がないにも関わらず、高木さんがいかに金やんにべったりでアホの子なのか、そして可愛いのかがよく分かるエピソードなので、彼女のファンの方にはオススメ。



・#20『魔術師/Illusionist』

デジタル天国の住人である坪井さんが扉絵を飾っています。
というわけで、今話の主役は坪井さん。あくまでデータ化されて生かされているだけの彼女ですが、学校内に設置された装置のおかげで一応登校して授業を受けたり何だりはできるようになっています。

しかしそうはいっても彼女が現世に干渉できるのは学校内だけですし、やっぱり暇で暇で仕方ないわけです。時々遊びに来てくれる金やんと高木さんも、動物の姿をしていたり何故か急須だったりで(デジタル天国はインターネットの世界ですので、自由に姿を変えられます)、どうも遊んでいるという感覚は薄い。そんなこんなで暇を持て余している坪井さんを、何者かによるデジタル天国へのクラッキングというハプニングが襲います。
彼女もその犠牲になりそうになったのを、間一髪救ったのは何と飯島くん。学校では無愛想、坪井さんが話しかけるとリモコンでその声量を調節しちゃうような彼が何故……といった感じで話は進みます。「渋い」ロケットパンチを選択する辺り、デジタル天国における「飯島くん」にちょっとオジサン世代的なものを感じさせる。

とまあ、普段とはあまりにも違う姿の飯島くんに、ついつい赤面してしまう坪井さんが可愛らしいエピソードでした。
ちなみにこの話の最後のコマに、描き下ろしでも姿を見せている眼鏡の女の子が混じっている気がします。ホントこの子は何者なんだろう……



・#21『地球防衛軍/No war』

センターカラーです(でした。単行本にもカラーページで収録されています)。制服の上着の色合いが出たのって初めてかな?

タイトル通り、地球防衛軍が衝撃的な形で登場。見開きでのシーンはふきました(笑
とにかくインチキ臭い上に、色々と迷惑を振りまいている地球防衛軍の役立たずっぷりもさることながら、彼らの関わるアクシデントの中心に、やっぱり高木さんがいたことに笑みを隠せません。高木さんが何処かに隠遁するだけでも、七女の世界はだいぶ平和になるんじゃなかろうか。

そういえば、冒頭で清水くんが再登場。金やんと途中まで一緒に登校してるんですが、ちょっと頬を赤らめてるようなシーンがあったりして(吹き出し外で「デートだ!」なんて金やんが言ってるんで、それに反応してるのかな)、やっぱり清水くんは金やんのこと意識してるんだろうか、とラブコメ好きとしては気になります。
子供扱いするな、なんていいつつもやっぱり年相応の子供っぽさも残している清水くんに、友人兼ややお姉さん的立ち位置から接する金やん。これはこれで、割としっくりくる2人だと思うんですよね。



・#番外篇『早回りの世界/Crumble away』

SFJapan2010年SPRING号に掲載されていたエピソードです。収録されるなら3巻ぐらいかなー、と思ったんだけど意外に早かったですね。単行本を3冊買える値段の雑誌でした(←

閑話休題。
舞台はいつも通り金やん、高木さんの住む町。なんですが、今話では異常なまでに繁殖した植物が至る所を侵食しているため、まるでジャングルのような様相を呈しています。高校の校舎内もすっかり緑色の比率が高くなっており、金やんの机に至っては怪しげな実までなってる始末。

そんな事態を引き起こしたのは、火星の植物だとか。火星で干からびていた植物の種を「緑あふれる町」を作るために利用した結果、何とも残念なことになってしまったんだそうです。地球における成長速度は異常な程で、2人が学校に行ってただ帰って来るだけの最中にも目に見えてわさわさ具合が増していたりします。
そして挙句の果てには、成長著しく茂った植物の中に新たな生態系が発生。『早回りの世界』というタイトル通りの小さな星が、美球町の中に生まれるわけですね。

勿論のこと、その状況下では高木さんは役立たずです。光子初登場の回同様に、怪物に捕獲された金やんを放っておいて逃げてしまったりもします。涙を流しながら形見がどうこう言ってたりもするんで、金やんが好きなことには間違いないんだろうけども、有事の際には彼女をあっさりとイケニエにしてしまうのは相変わらずヒドイ(笑)金やんの生存率の高さ、危機的状況を打開する能力への信頼がそこにはあったりするんでしょうか。
一方、謎のキモイ(高木さんから見ると可愛いそうですが……ちなみに食べられる様子。どんな味がするんだろうか)動物やら、石器を使う原人やらに遭遇しても、割と冷静に事態を分析出来てしまう金やんの頼れる女性っぷりは凄い。これは清水くんでなくとも惚れる!

とまあ、こんな感じのエピソードでした。
町が植物に覆われるというと、藤子・F先生の『みどりの守り神』なんかが思い起こされます。環境問題への警鐘等のメッセージ性に富んだ作品でしたが、本作品も、金やんが経験した世界の終末の捉え方によっては、そういった側面も感じられるかもしれません。
こういうことを書いている僕は、ただコメディとして読んで笑ってただけですが(←×



1つ1つはあまり長くない感想も、こうやってまとめてみるとそれなりに分量がありますね。ホントは色々と新しく何か書きたかったんだけど、時間と体力と相談した結果こうなりました。残念だ……

購入するなら特典ペーパーが付いてくるCOMIC ZINがオススメ。
ちなみにZINはリュウコミックスフェア対象店でもありますので、1巻を買うとポストカードが貰えます。2巻とご一緒にどうぞどうぞ。ポストカードは要らない、漫画だけ読みたいという人は相談して下さい。ストックは割と潤沢にあるんだ(←

関連:『第七女子会彷徨』感想(1)
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ささめきこと(6)

コミックアライブにて連載中、昨年末終了したアニメも良い出来だったように思われる百合漫画『ささめきこと』6巻が発売されました。こんなお話です。明かりの消えた教室で1人寂しげに佇む汐が描かれている前巻の表紙とは対照的に、今巻のそれでは、温かそうな陽光が窓から差し込んでくる廊下で、ロッカーの陰からこちらを見て微笑んでいる汐の姿が見られます。明るい展開を予感させるものでイイですね。

試読はこちらで可能です。旧ビューアの方がすぐに読めて楽かな。また、コミックアライブの公式サイトでも第1話は読める様子。ついでに今なら4月号のカラーページも閲覧可能ですよ。

共に相手への想いを打ち明けられず、自らの気持ちに嘘をつこうと努める純夏と汐の姿があまりにも切なく涙を誘い、読んでいるこちらとしてはとにかく胃が痛い展開がてんこ盛りだったのが前巻だったわけですが、今巻は中盤からとってもハッピーな気分になれました。表紙の汐の微笑が、彼女の本心からのものだということがよく分かります。

汐の感情の爆発

といっても、序盤にはまだ心苦しいエピソードが続きます。それが第31話『思いしものを』。
第30話では、純夏が逃避の手段として、汐と出会う前に親しんでいた空手を選びそれに没頭しようとしていましたが、この第31話ではそういった逃げ場を持たない汐の慟哭が描かれています。

それはあまりに激しく、痛々しいもの。自室で声にならない叫びを上げながら、大事にしていたはずのファッション誌(可愛い子が載っている)を投げ捨て、床に拳を叩き付け、仰向けになり足をばたつかせる彼女は、まるで駄々をこねる子供のようにも見えました。「なんですみちゃんは私の側にいてくれないのよぉ……」という台詞(p.15)なんかはまさにそれですね。

とはいえ、自らの本心を告げれば純夏は離れていってしまうかもしれないと恐れを抱いて、友人としてでもただ純夏と共にいたいという願いを持って笑顔を作っていたにも関わらず、皮肉なことに純夏はその笑顔にこそ汐のぎこちなさを感じ取り態度を硬化させてしまった上に、女子空手部に入部した1年生コンビ・蝉丸まゆと松原恋乃のせいで、歩み寄りの1つのルートが潰れて(彼女達には何の罪もありませんが)……告白してその関係を壊すか、告白せずに関係を維持するか、というジレンマ(彼女がそう思い込んでいるに過ぎないけれど)に苦しみ、そこに決着を付けたつもりが事態は悪化する一方では、汐が上記のような言葉を口にしてしまうのも無理は無いのかもしれません。

一歩前進

さて、汐は暴した際に腕を骨折してしまうんですが……それを巡る一件により自らの失敗をしっかりと受け止めた汐が成長することで、純夏との関係も再び良好なものへと戻っていくのです。これがホントの怪我の功名(←×

その関係性の修復は、汐が骨折してしまったことを純夏が知ったところから始まります。
色々と複雑な感情を抱えつつも、汐が怪我をしたと知った途端に頭は彼女のことでいっぱいになり、授業中にも関わらず外へ飛び出してしまう純夏。
そして「……イヤ! もう嘘はイヤ!!」(p.36)と自らの本音を裏切ることへの辛さに耐え切れず、汐が純夏のことを想っているところに、純夏は颯爽と登場するのです。走るには向かない制服と革靴のまま、汗を滝のように流して、肌に髪を貼りつかせた状態で。だけど、そんな彼女はとてもカッコイイし、愛らしい。汐のために後先考えず、体が勝手に動くままに病院まで駆け付けてしまう純夏の姿は、僕の心を鷲掴みにしました。そしてきっと、汐の心も。

自らのために泣いてくれる純夏の姿を見て汐が何を感じたのかは想像するしかありませんが、この後立ち直った彼女は「すみちゃんに頼らなくても 大丈夫になるの」(p.44)と吹っ切れ、告白以前に、純夏に依存してしまっていた状況の打破を意識するようになります。
そんな、迷いから抜け出した汐を見て、純夏も「なんか細かいことはいいかなって 風間が元気でさえいてくれれば」(p.48)と心からの笑顔を取り戻すんですね。この辺りの展開には、本当にホッとしました。

で、2人の関係は元に戻るだけでなく、更なる展開を見せます。
朋絵が汐との会話の中で「いっそお互いの想いを伝えてしまえばよかったと 後悔もしたさ」(p.46)なんて口走ってしまったため、汐は純夏の気持ちを間接的にではありますが知ることになるのです。この後の汐の、喜びと幸せを噛みしめる様子を見ていると胸がいっぱいになります。「ついに見つけちゃったの カワイイよりも素敵なこと」(p.72)という台詞もたまりません。最近はもう、すっかり汐に感情移入してたからなあ。
そして本当にシャレにならない程にグッと来たのが、第34話での仮面を通してのキスシーン(単行本描き下ろしとかいう話です)。今度は汐が純夏に仮面を被せて、汐から……なので、第3話のそれとは反対です。
第3話では、純夏に好きな相手が出来たと勘違いした汐が、純夏の練習のためにと仮面を用意したわけですが、今回のキスも汐にとってある意味では練習なのかもしれません。ただ、それはいつか来るべきぼんやりとした「誰か」を想定しているのではなく、はっきりと純夏を相手取って直接唇を合わせる前の予行なんだろうな、なんて思うともう見てるこちらとしても恥ずかしいやら嬉しいやら……

2人の関係を支える、素敵な友人達

『ささめきこと』は主に純夏と汐の2人を巡る物語なわけですが、その脇を固めるキャラクター達にもやっぱり役割があって魅力的だったりするんだよなー、と意識させられるのがこの6巻でもありました。

特に出番が多かったのは、朋絵。5・6巻では彼女が友達をいかに大切に思っているかというのも描かれていたりして、アニメに比べると描写が少なめとはいえ、彼女の活躍も楽しめる展開だったように思います。
朋絵は1人だけ年上な上に、自らの力で道(学外での仕事にせよ、プライベートにおけるみやことの仲にせよ)を切り開いてきただけあって、非常にバランス感覚が優れていて精神的にも安定してるんですよね。外の立場から状況を見てアドバイスをしてくれる彼女がいなかったら、もしかしたら純夏と汐の関係はもっとこじれていたのかもしれません。しっかりと2人のことを見守ってくれている彼女のおかげで、こちらとしてもギリギリのところで安心して、ことの次第を追っていられたように感じます。

そして、この6巻でもう1人重要なポジションを担ったのが、蒼井さん。汐の怪我を純夏に知らせたのは、偶然病院に居合わせた彼女なのです。
純夏と汐、互いの想いは相互を向いているにも関わらず、微妙に噛み合っていないという関係性をきちっと把握している上に、更に女子空手部とはまた別の立ち位置にあってギスギスした2人の現状を知らない蒼井さんが、ここでかすがいのような役目を果たせたことが嬉しい。女子部の面々との絡みが描かれなくなって久しい蒼井さんだけど、やっぱり皆と一夏を共に過ごした友達なんですよね。
勿論、他の誰が連絡したところで純夏は汐のために走り出すんだろうけど、ここで蒼井さんが出てきたことに、純夏達が積み上げてきた1年の大きさみたいなものを感じたりしたわけです。迷走を続けてしまった2人の傍には、何だかんだで素敵な友人がいる、と。



また今回もキーボードをちょこちょこ打っては既巻・新巻を読んでは泣く、の繰り返しでした。6巻は購入した帰り道、電車の隅の方で読んでたら涙出てきてかなり危なかった……(←×

ちなみにこの6巻には、以前感想を書いたコミックフラッパー(2010年1月号)掲載の番外編や、『ささめきこと』とは別の未発表短編『神様とダンス』も収録されています。これで500円ならお得感はあるんだけど、人によっては本編のこの先を早く読ませて!という思いを持つかもしれませんね(といっても、第35話は汐の兄にまつわるエピソードなんですけどね。何気にカッコイイです。ちょっとイメージが変わりました)。
店頭で買う際には、特典が付くとらのあなCOMIC ZINがオススメ。他にも特典を貰える店があるのかもしれませんが、残念ながら僕はこの2店舗でしか購入していないんで分かりません。

そうそう、いけだたかし先生の短編集も一緒に発売になったので、『ささめきこと』ファンの方はそちらもチェックしてみてはいかがでしょう。

いけだたかし先生のサイトはこちら→"いけだの国"

関連:『ささめきこと』感想(3)(4)(5)
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テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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