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ささめきこと(6)

コミックアライブにて連載中、昨年末終了したアニメも良い出来だったように思われる百合漫画『ささめきこと』6巻が発売されました。こんなお話です。明かりの消えた教室で1人寂しげに佇む汐が描かれている前巻の表紙とは対照的に、今巻のそれでは、温かそうな陽光が窓から差し込んでくる廊下で、ロッカーの陰からこちらを見て微笑んでいる汐の姿が見られます。明るい展開を予感させるものでイイですね。

試読はこちらで可能です。旧ビューアの方がすぐに読めて楽かな。また、コミックアライブの公式サイトでも第1話は読める様子。ついでに今なら4月号のカラーページも閲覧可能ですよ。

共に相手への想いを打ち明けられず、自らの気持ちに嘘をつこうと努める純夏と汐の姿があまりにも切なく涙を誘い、読んでいるこちらとしてはとにかく胃が痛い展開がてんこ盛りだったのが前巻だったわけですが、今巻は中盤からとってもハッピーな気分になれました。表紙の汐の微笑が、彼女の本心からのものだということがよく分かります。

汐の感情の爆発

といっても、序盤にはまだ心苦しいエピソードが続きます。それが第31話『思いしものを』。
第30話では、純夏が逃避の手段として、汐と出会う前に親しんでいた空手を選びそれに没頭しようとしていましたが、この第31話ではそういった逃げ場を持たない汐の慟哭が描かれています。

それはあまりに激しく、痛々しいもの。自室で声にならない叫びを上げながら、大事にしていたはずのファッション誌(可愛い子が載っている)を投げ捨て、床に拳を叩き付け、仰向けになり足をばたつかせる彼女は、まるで駄々をこねる子供のようにも見えました。「なんですみちゃんは私の側にいてくれないのよぉ……」という台詞(p.15)なんかはまさにそれですね。

とはいえ、自らの本心を告げれば純夏は離れていってしまうかもしれないと恐れを抱いて、友人としてでもただ純夏と共にいたいという願いを持って笑顔を作っていたにも関わらず、皮肉なことに純夏はその笑顔にこそ汐のぎこちなさを感じ取り態度を硬化させてしまった上に、女子空手部に入部した1年生コンビ・蝉丸まゆと松原恋乃のせいで、歩み寄りの1つのルートが潰れて(彼女達には何の罪もありませんが)……告白してその関係を壊すか、告白せずに関係を維持するか、というジレンマ(彼女がそう思い込んでいるに過ぎないけれど)に苦しみ、そこに決着を付けたつもりが事態は悪化する一方では、汐が上記のような言葉を口にしてしまうのも無理は無いのかもしれません。

一歩前進

さて、汐は暴した際に腕を骨折してしまうんですが……それを巡る一件により自らの失敗をしっかりと受け止めた汐が成長することで、純夏との関係も再び良好なものへと戻っていくのです。これがホントの怪我の功名(←×

その関係性の修復は、汐が骨折してしまったことを純夏が知ったところから始まります。
色々と複雑な感情を抱えつつも、汐が怪我をしたと知った途端に頭は彼女のことでいっぱいになり、授業中にも関わらず外へ飛び出してしまう純夏。
そして「……イヤ! もう嘘はイヤ!!」(p.36)と自らの本音を裏切ることへの辛さに耐え切れず、汐が純夏のことを想っているところに、純夏は颯爽と登場するのです。走るには向かない制服と革靴のまま、汗を滝のように流して、肌に髪を貼りつかせた状態で。だけど、そんな彼女はとてもカッコイイし、愛らしい。汐のために後先考えず、体が勝手に動くままに病院まで駆け付けてしまう純夏の姿は、僕の心を鷲掴みにしました。そしてきっと、汐の心も。

自らのために泣いてくれる純夏の姿を見て汐が何を感じたのかは想像するしかありませんが、この後立ち直った彼女は「すみちゃんに頼らなくても 大丈夫になるの」(p.44)と吹っ切れ、告白以前に、純夏に依存してしまっていた状況の打破を意識するようになります。
そんな、迷いから抜け出した汐を見て、純夏も「なんか細かいことはいいかなって 風間が元気でさえいてくれれば」(p.48)と心からの笑顔を取り戻すんですね。この辺りの展開には、本当にホッとしました。

で、2人の関係は元に戻るだけでなく、更なる展開を見せます。
朋絵が汐との会話の中で「いっそお互いの想いを伝えてしまえばよかったと 後悔もしたさ」(p.46)なんて口走ってしまったため、汐は純夏の気持ちを間接的にではありますが知ることになるのです。この後の汐の、喜びと幸せを噛みしめる様子を見ていると胸がいっぱいになります。「ついに見つけちゃったの カワイイよりも素敵なこと」(p.72)という台詞もたまりません。最近はもう、すっかり汐に感情移入してたからなあ。
そして本当にシャレにならない程にグッと来たのが、第34話での仮面を通してのキスシーン(単行本描き下ろしとかいう話です)。今度は汐が純夏に仮面を被せて、汐から……なので、第3話のそれとは反対です。
第3話では、純夏に好きな相手が出来たと勘違いした汐が、純夏の練習のためにと仮面を用意したわけですが、今回のキスも汐にとってある意味では練習なのかもしれません。ただ、それはいつか来るべきぼんやりとした「誰か」を想定しているのではなく、はっきりと純夏を相手取って直接唇を合わせる前の予行なんだろうな、なんて思うともう見てるこちらとしても恥ずかしいやら嬉しいやら……

2人の関係を支える、素敵な友人達

『ささめきこと』は主に純夏と汐の2人を巡る物語なわけですが、その脇を固めるキャラクター達にもやっぱり役割があって魅力的だったりするんだよなー、と意識させられるのがこの6巻でもありました。

特に出番が多かったのは、朋絵。5・6巻では彼女が友達をいかに大切に思っているかというのも描かれていたりして、アニメに比べると描写が少なめとはいえ、彼女の活躍も楽しめる展開だったように思います。
朋絵は1人だけ年上な上に、自らの力で道(学外での仕事にせよ、プライベートにおけるみやことの仲にせよ)を切り開いてきただけあって、非常にバランス感覚が優れていて精神的にも安定してるんですよね。外の立場から状況を見てアドバイスをしてくれる彼女がいなかったら、もしかしたら純夏と汐の関係はもっとこじれていたのかもしれません。しっかりと2人のことを見守ってくれている彼女のおかげで、こちらとしてもギリギリのところで安心して、ことの次第を追っていられたように感じます。

そして、この6巻でもう1人重要なポジションを担ったのが、蒼井さん。汐の怪我を純夏に知らせたのは、偶然病院に居合わせた彼女なのです。
純夏と汐、互いの想いは相互を向いているにも関わらず、微妙に噛み合っていないという関係性をきちっと把握している上に、更に女子空手部とはまた別の立ち位置にあってギスギスした2人の現状を知らない蒼井さんが、ここでかすがいのような役目を果たせたことが嬉しい。女子部の面々との絡みが描かれなくなって久しい蒼井さんだけど、やっぱり皆と一夏を共に過ごした友達なんですよね。
勿論、他の誰が連絡したところで純夏は汐のために走り出すんだろうけど、ここで蒼井さんが出てきたことに、純夏達が積み上げてきた1年の大きさみたいなものを感じたりしたわけです。迷走を続けてしまった2人の傍には、何だかんだで素敵な友人がいる、と。



また今回もキーボードをちょこちょこ打っては既巻・新巻を読んでは泣く、の繰り返しでした。6巻は購入した帰り道、電車の隅の方で読んでたら涙出てきてかなり危なかった……(←×

ちなみにこの6巻には、以前感想を書いたコミックフラッパー(2010年1月号)掲載の番外編や、『ささめきこと』とは別の未発表短編『神様とダンス』も収録されています。これで500円ならお得感はあるんだけど、人によっては本編のこの先を早く読ませて!という思いを持つかもしれませんね(といっても、第35話は汐の兄にまつわるエピソードなんですけどね。何気にカッコイイです。ちょっとイメージが変わりました)。
店頭で買う際には、特典が付くとらのあなCOMIC ZINがオススメ。他にも特典を貰える店があるのかもしれませんが、残念ながら僕はこの2店舗でしか購入していないんで分かりません。

そうそう、いけだたかし先生の短編集も一緒に発売になったので、『ささめきこと』ファンの方はそちらもチェックしてみてはいかがでしょう。

いけだたかし先生のサイトはこちら→"いけだの国"

関連:『ささめきこと』感想(3)(4)(5)
アニメ版『ささめきこと』感想第1話第2話第3話第4話第5話第6話第7話第8話第9話第10話第11話第12話第13話
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テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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