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一緒にかえろう(1)

まんがタイムファミリーにて連載中の4コマ漫画が単行本化。
ちょっとガサツな女の子・時沢春は、小学4年生の時に出会った近藤詩緒に一目惚れ。詞緒が引っ越してしまった後も文通を続けていたところ、詞緒がまた春の近所に住まいを移すという手紙が届きます。どんな男の子になったのかな、と6年ぶりに再会してみると、何と詞緒は胸の大きな女の子だった……といった具合に始まるお話。一言しておくと、詞緒が女の子になっちゃった!というTSものではありません。

試読はこちらで。

少しずつ形を変えていく、少年少女の友情・恋愛模様

詞緒は口下手だったり泣き虫だったりする上に、転校が多かったせいか人間関係の形成に関しては非常に不器用。春が通う高校に転校してきた当初は、春以外のクラスメイトに対してはポーカーフェイスを保って、「キツイ」イメージを持たせてしまうような女の子なのです。
そんな彼女ですが、春に励まされ、春の幼馴染である真名にも守られ、伊藤(クラスの男子)に他のクラスメイトとの橋渡しをしてもらい……と、色々な人の好意や偶然の助けを得て少しずつ前進し始めます。1巻終盤に訪れる春との喧嘩の際、自宅に引きこもっていただけでは事態は好転しないと一念発起して学校へと向かう彼女の姿に、序盤とは明らかに違うある種の強さが見出せ、何となくホッとしてしまったのは僕だけでは無いと思いたい。

一方、そんな詞緒の支えとなり彼女を引っ張っていた春も、詞緒との友情を育んでいく中で、少しずつその心情を変容させていきます。その様子がよく分かるのが、上でも触れた2人の喧嘩。正確には喧嘩というか、春が一方的に詞緒に対してそのワガママをぶつけてしまうというエピソードなんですが……事の発端を客観的に見ると、伊藤と詞緒がやや仲良くなった悪くないシーンなので、ここでの春は自分勝手にも思えます。
ですが、その感情の爆発が突然のものなために目立ってしまう違和感とワガママっぷりを置いておいて、よくよく考えてみると、詞緒が周囲に溶け込み始めていく様子を横でずっと見ていた春は、嬉しさだけでなく相当な寂しさも感じていたはずなんですよね。となると、春の胸に蓄積されていた想いは相当なものだったろうし、そこで抑え切れなかった激情を詞緒にぶつけてしまったのも仕方無いのかなあと思わないでも無い。
最初は春以外に頼るどころかきちんと喋ることができる相手すらいなかった詞緒が、ほんのちょっとしたことで泣き出してしまった詞緒が、そして6年間ずっと2人だけの関係を作ってきた特別な相手であるはずの詞緒が……なんて具合に春の胸中を想像してみると、あんまり悪く書けないんですな。

勿論僕なんかより春のことをよく分かってる詞緒はその辺りの事情をきちんと察し、そんな状態を作り出してしまった要因が自分の依存にあったことを反省する姿を見せてくれます。そこに、2人の関係性はやっぱり特別なものなんだと感じさせるものが確かにある気がしました。
春から詞緒への、詞緒から春への「一緒にかえろう」という温かで切実な気持ちに溢れた1巻終盤は個人的にはかなり読み応えがあったなあ。

ところで、この作品の面白さは春と詞緒の関係性だけでなく、それを中心にして広がっている人間模様にもあるように思います。なもんで、小見出しを上のようにしたわけです。
詞緒の本当の笑顔が見たくて悩む少女・真名。
詞緒に惚れ、何度も後退しつつもじっくりと距離を縮めているようにも見える少年・伊藤。
そんな伊藤を密かに思っているような様子を見せるのは、詞緒に誰よりも辛く当たろうとし、周囲に"イジワル"な子として捉えられている少女・杉山。
そして春に好意を寄せており、1巻ラストにはちょっと暴走気味の行動をとって次なるトラブルを生み出してしまった少年・葉月。
それぞれが皆、何とも不器用で、行き当たりばったりなところがあって、時には誰かを傷つける。いやはや、こうも愛しくなる面子が揃っている4コマは、個人的には久し振りです。なかなかお気楽に笑えるシーンがちょこちょこあったりするのも、彼らの日常生活に浸らせてくれる感じで嬉しい。



ちなみにこの作品、百合成分もほんのりと入っています。12日発売のつぼみにゲスト掲載されるそうなので、百合好きな方がそちらを見て『一緒にかえろう』の単行本に手を伸ばしてくれたらいいなあ。

矢直ちなみ先生のサイトはこちら→"雨告鳥"
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テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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