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恋愛遊星

コミックアライブに、連作シリーズとして掲載されていた漫画の単行本。
異星人とのコンタクトから数十年が経過した地球を舞台に、SFの要素を含んだラブストーリーが描かれています。

異星人と地球人の様々な恋愛模様が、とにかく心に沁みる。
作中に登場する異星人は、どの種族もが特異体質なり何なりを有しています。彼らの生活がその種族だけで完結していれば普遍的なものとして捉えられるであろう特異性、そしてそのドラマ性が、彼らと地球人との交わりによって際立つ様が描かれているわけですが、そのどれもが悲恋を呼びかねない代物。
例えば、「キルキリリ人」と呼ばれる種族固有の体質は「引き継ぐ」こと。一生の内に8回の人格交代をし、その度に記憶の整理が行われるという体質なのです。

第1話では、人生において2度目の「引き継ぎ」を間近に控えた少女(表紙)と、1度目の「引き継ぎ」以降の数年間をその傍で過ごしてきた少年との別れと出逢いの物語が描かれています。
外見は何も変化しないのに、次に会話を交わす時には別人格。しかも、共に経験してきたことも確たる形では憶えていない。死別とはまた違う切なさがそこにはありました。

ただ、僕の心を惹き付けたのはその切ない面そのものではありません。むしろ、それを乗り越えた部分にある恋の純粋さが持つ力強さとでもいいましょうか。「引き継ぎ」を終えた後の少女が、少年と初めて顔を合わせた時に胸中で発した「なんで微笑んでしまうんだろう」「なんで胸が熱くなるんだろう」というモノローグこそが、それです。
記憶喪失になったり転生を経ても、その感情だけは残っている、蘇る……なんていう展開は決して珍しいものではありませんが(ちなみに、丁寧に描写されていればそういうのも大好物です)、ここで描かれているのはそこに一味加えたものになっています。それを表しているのが、作中に登場する別の「キルキリリ人」の「記憶が全てリセットされるわけじゃない 本人の意志によるところが大きいけど」という台詞。
「引き継ぐ」前に、自分で残す記憶を選べるわけではないけれど、強く思えば、そうあるように願えば、大切な記憶や感情は残る可能性もある。そのことが説明された上での、少女の上記のモノローグなわけです。一緒に歩んできた時間こそが、想いを形作っている。読んでいて、涙ぐんでしまいました。

ちなみにこの作品、必ずしも異星人と地球人とのカップルが主役になるわけではありません。彼らの、一筋縄ではいかない恋愛の影響を受けながら進展していく、地球人の少年少女の恋模様も描かれていたりします。心情移入という観点からいうと、そういったエピソードの方が入れ込み易いかもしれません。

他にも面白いのが、随所に散りばめられた細かいガジェットやら物語同士のリンクやら。中でも、「この耳は昔話ではトステ人の祖先と同じらしいのです!」(第5話より)という台詞は、第1話から順に読んでいる読者にはその後に起こる事態を予想させ不安を抱かせるという意味で、非常にインパクト大。
1つ1つのエピソードは独立していますが、最初から通して読んでこそ、その魅力が最大限に発揮されるんじゃないかと思います。



基本的にコメディ、ラブコメの感想を中心に書いてる当ブログですが、SF要素のあるラブストーリーというのがとてもツボったので取り上げてみました。

倉橋ユウスさんのサイトはこちら→"倉橋ユウス部屋"
テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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