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響子と父さん

COMICリュウにて連載されていた漫画の単行本です。
イラストレーターの響子さんと一風変わったその「父さん」、2人のやり取りを軸に主にコミカルに、時にシリアスに描かれる家族模様が魅力的な作品。

父さんがかわええ……

響子さんも主要キャラであることに間違いはないんですが、主に話を引っ張るのも笑いを提供してくれるのも、父さん(岩崎幸太郎)の方です。
石黒正数先生の作品にはトボけたオヤジが多数登場していますが、その中でも個人的にはこの父さんが特に好ましい気がします。こんなオッサンに僕はなりたい!……かもしれない。

何がイイって、そのちょっとズレた価値観と言動です。
暴れん坊将軍の練習だとか何とか言って「バシッ バシーッ」とSEを口に出しながら、愛刀ヨシムネ(模造刀)を振り回す父さんはこう……見ていて和んでしまいます。定年退職して童心に戻ってのんびり遊べる環境を得たことで、元々の子供じみた遊び心がいい具合に開花したのかな。
幼いと言ってしまえばそれまでなんですが、ある程度分別と知識を得て人生経験を積んでいるからこそ、子供と同じようなことをしても、また違う面白みがそこには生まれてくるように思うんですよね。子供がヒーローになりきって遊ぶのとは違い、その目指すものになれないのは理解しているからこそ、暴れん坊将軍を自分の中に落とし込んで「練習」している姿は何気にアツイ。

言いたいことが婉曲に過ぎてなかなか真意が伝わりにくい父さんですが、そこでの独特のセンス溢れる話の進め方も、また魅力的。
実家のすぐ隣のマンションを住居兼仕事場として一人暮らしをしている響子さんに対し、絶妙な距離感の話を持ち出そうとした父さんは、何故かまず菜箸の話題を持ち出します。インスタントラーメンを鍋で茹でる際に菜箸を用いるのが面倒なので普通の箸を使ってみたところ、短くて熱かった、と。そこから菜箸の実用性と長さの関連性、素晴らしさを語って本題へと敷衍したかったというのは分かる……分かるんだけども、長いよ父さん!
響子さんはそんな父さんの話を最後まで聞かずにぶった切ってしまうわけですが、それも致し方ないように思います。とはいえ読み手としては父さんの真意を掴んでいるわけで、このとてもコミカルな父さんのファンになっている場合、もうちょっとだけ耳を傾けてあげてよ響子さん!という心情になってしまうこと請け合い。

上記に加えて、かなり無鉄砲だったり(非常ベル鳴り響く廃マンションに乗り込もうと、颯爽とドアを開けて現れる父さんの姿には吹き出してしまいました)、変なところで見栄っ張りだったりと、他にも色々と愛すべき点を持ったオジサン「父さん」がとても好きになってしまいました。

『ネムルバカ』との関連性(これはググった方がよく分かります)

『ネムルバカ』との関連性は、多分あるんだろうと思います。
響子さんのお母さんの実家が経営していた食堂名が"くじらい食堂"なので、『響子と父さん』の春香が母親の旧姓を使って「鯨井ルカ」と名乗ってたんじゃないかな、と。
第2話が掲載されてたリュウは買ってなかったので、4月号を読んだ時には気付きませんでした。某所某スレでは先月末に既に指摘されてたんで今更な話題なんですが、触れる機会が無かったのですっかり忘れてたというお話。

ということで、『ネムルバカ』よりも時系列的に後なんだろうと思われる話がこの『響子と父さん』。時系列以外にも『ネムルバカ』の先にあるステップというか何というかが、この作品には描かれているように感じました。
それは失踪した春香(ルカ)が家族に連絡を取ろうとしているところや、表紙の折り返しにきちんと彼女も加わっているところから何となくイメージした程度なんですけども、『ネムルバカ』で綴られていた、モラトリアムに顕著なあの真綿で首を絞め続けられているような感覚から自力で抜け出せようが抜け出せまいが、一旦歩を緩められる休憩所みたいなものが誰にも残されてるんじゃないかな……と。
春香(ルカ)にとっては、岩崎家という空間がそれなんじゃないでしょうか。大学を退学するのと同時に家族の前からも姿をくらましてしまった彼女は、もしかしたらまだ体にまとわりつく焦りや苛立ちから逃げ切れずにいるのかもしれませんが、それでも家族という拠り所を失ってはいないし、それと繋がっていようという気持ちは確かにある。父さんが幸せなのかどうかを問おうとしている(ように読める)彼女がその答えを聞いてどうするのかは想像するしかありませんが、この後の展開はそんなに悲観的なものじゃないだろうと、僕は勝手に思っています。



どうでもいいですが、「キャッキャウフフ」は雑誌連載時のままになったんですね。百合的要素を含ませようが含ませまいが「キャッキャウフフ」は「キャッキャウフフ」だと思うんで、僕としては一安心(というのも何か違う気がしますが)。

追記:COMIC ZINで買うとイラストカードが付いてきます。そこで、岩崎春香と鯨井ルカは同一人物というようなことが書かれてますね。有隣堂(秋葉のみ?)やまんが王倶楽部でも同じ絵柄のペーパーが貰えるという話なので、気になる方は覗いてみてはいかがでしょう。

石黒正数先生のサイトはこちら→"おかんの家4"
テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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