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木造迷宮(2)

COMICリュウにて連載中の女中さん漫画の単行本。
鳴かず飛ばずの小説家であるシバタニコーイチ(通称ダンナさん)。そんな彼の家には、素直で可愛く仕事もきっちりこなす女中のヤイさんが住み込みで働いていて、彼の日常生活にほんのちょっとした彩りを添えてくれます……そんな感じの、2人が積み上げていくスローライフを描いた作品です。

帯にもあるように、女中さん萌えとでも言うべきものが作中には溢れているわけですが、ヤイさんのそのお淑やかさと相俟って、決してそれが自己主張し過ぎていないのが好印象。割烹着に下駄をつっかけた「女中さんスタイル」と、アサミ・マートさんの淡いタッチで描かれる、何処かレトロな風景とが合わさって作られる空気感の中で、ヤイさんの一つ一つの所作がとっても自然に見えてくるのです。
また、控え目にしか使われないスクリーントーン、所々が途切れた描線が、かっちりし過ぎない風景を形作るのに一役買っている感じ。夕焼けがとても似合いそうな街並みには憧れます。

これがメイドさん萌えだったら、こうは行かなかったんじゃないかな。クラシックスタイルにせよミニスカスタイルにせよ、場にそぐわなくなってしまいそう。
そういう意味では、こってりとした「萌え」に疲れてしまった方にオススメ出来る、とても柔らかい「萌え」に満ちた漫画なんじゃないかと思います。

さて、そんな『木造迷宮』なんですが、実は僕にとっては柔らかいどころかナイフのように尖った「萌え」が隠れていたりします。
そう、それは2巻より登場する眼鏡っ娘兼文学少女・セッコちゃん!彼女の登場にはもう僕は涙を流しながら歓喜!
……というわけでは無く、『木造迷宮』初読時より僕はただただサエコさんの虜なのです。
勝気な性格を窺わせる、やや釣り上がった眉。妥協しない厳しさ・意志の強さを滲ませる、ピシッとしたスーツの着こなし。色香漂う、厚めの唇。オトナの魅力たっぷりの、赤いルージュ。そして包容力を感じさせるおっp(ry
ビジュアル的にはもう言う事無しです。僕の中でちょっとしたオトナの女性(二次元に限る)ブームが来たのは、このサエコさんからだったか『クイーンズブレイド』のカトレアからだったか、と言うぐらいに僕の中では存在感が大きい。

さて、このサエコさん、コーイチを「兄さん」と呼んではいますが別に兄妹なわけではありません。確かサエコさんはコーイチの従妹……だったかな。幼き日のサエコさんは彼をコーイチを「兄さん」と呼んで慕っていたので、それが今も続いている、と言うわけです。
そんな幼女サエコさんの淡い恋心のこもった応援は、学生時代のコーイチの確かな力となり、彼を小説家へと導きました。

個人的に注目したいのが、風邪で弱っているサエコさんが、コーイチの使いとしてやってきたヤイさんに漏らした「何よ それなら自分が来たらいいじゃないの」という台詞。
普段はだらしないコーイチに強く当たる事の多い彼女ですが、実際にはかつて抱いた恋心は未だに生きているのかも……と思わせます。
それを踏まえた上でこのエピソードで挟まれた回想シーンを見た感じ、コーイチの事を未だにコーイチ「兄さん」と呼ぶのは、幼少時の癖がそのまま残っているだけと言うより、実際は子供心に抱いた恋愛感情に上手く始末が付けられていないところから来ているのかもしれないな、なんて思ったりもしました。
そんなグズグズした心へのカウンターアクションとして、自他を厳しく律するような現在のサエコさんの人格が形作られていったのでは……と、この時間帯になると妄想もよく分からない方向へと進みがちです。

ところで彼女の言動を単に照れ隠し系ツンデレと捉えて、そこで思考停止してしまう方がいたら、それはちょっと勿体無いから待って欲しい。
別に、彼女は照れ隠しだけからコーイチに強く当たっているわけでは無いのです。どちらかと言えば、そこに見え隠れするのはサエコさんの世話焼きな一面ではないでしょうか。
ヤイさんをコーイチに紹介したのもサエコさんだった事に鑑みれば、ややもするとダメになってしまいそうなコーイチが心配で心配でたまらないんだけれども、そこで彼女自身が甘やかしてもきっと効果は無いだろうから、彼を無理やりにでも立ち上がらせるためにキツく接しよう、ヤイさんを飴として自分を鞭としよう……と言う、サエコさんの優しさが心に沁みてきたりしませんか? ……しませんか。
同じツンデレと言う広い括りの中でも、彼女は世話焼きおばさん系(分かり辛いな)ツンデレな気がするんですよ、とサエコさんスキーの一員として記しておこうかな、と思った次第です。
テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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